国交省、JALに再び事業改善命令 パイロット飲酒、赤坂社長「傍観者いてはいけない」(Aviation Wire)

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出典元:国交省から再び事業改善命令を受けたJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国土交通省は10月8日、パイロットの飲酒問題について日本航空(JAL/JL、9201)に対し事業改善命令、スカイマーク(SKY/BC)を業務改善勧告、日本トランスオーシャン航空(JTA/NU)と中日本航空、朝日航洋の3社を厳重注意とした。いずれも23日までに再発防止策を報告させる。5社の中でもっとも重い処分を受けたJALは同日、赤坂祐二社長ら経営陣の減俸処分を発表した。

 JALが事業改善命令を受けたのは、2018年12月21日以来1年間で2度目。国交省航空局(JCAB)によると、定期便を運航する航空会社で同じ内容の事業改善命令を1年以内に再び受けた事例は過去にないという。

◆国交省「危機感薄い」

 JALは今回の事業改善命令を受け、「再発は許されないとの強い危機感を持って再発防止に向けた取り組みを迅速に徹底し、信頼の回復に向けて全力で取り組んでまいります」とのコメントを発表。赤坂社長を月額報酬の40%減額3カ月、植木義晴会長と藤田直志副社長、安全統括管理者を務める権藤信武喜常務の3人を20%減額2カ月、その他の全役員は10%減額1カ月とする処分を発表した。監査役は10%の額を1カ月自主返納する。

 また、JCABはJALに対し警告書を出した。同書は、昨年12月に事業改善命令を受けながらも複数の飲酒問題が再発したことについて、「再発防止策が実効性の伴ったものとなっていないことから生じた」と指摘。「パイロットの危機感の薄さや、飲酒に関する違反行為が安全上重大な問題であるという認識が経営層を含め、組織内でいまだ徹底されていないと言わざるを得ない」と厳しい見方を示し、事業改善命令に従って改善するよう警告した。

 国による処分は、もっとも軽い口頭指導から、厳重注意、業務改善勧告までが「行政指導」。勧告より重いものは「行政処分」となる事業改善命令で、事業の全部または一部の停止命令(事業停止)が続き、もっとも重い処分は事業許可の取り消しになる。

 赤坂社長は全社員に対し、「経営破綻以来の危機。ひとりの傍観者もいてはいけない」と、飲酒問題がパイロットのみの問題ではなく、会社の存続にかかわる重大問題であると認識するよう、強く訴えた。

◆JALはロンドン事案など4件

 JALの処分対象となったパイロットの飲酒問題は、2018年10月から今年9月までに発生した4件。1件目は、現地時間2018年10月28日にロンドン発羽田行きJL44便の乗務前に起きたもので、男性副操縦士(当時、懲戒解雇)が過度な飲酒により英国で身柄を拘束され、現地で禁錮10カ月の判決が言い渡された。同便は運航規程上は認められていないにもかかわらず、パイロット3人による乗務編成から2人編成に変更し、定刻より1時間9分遅れで出発した。

 2件目は今年4月29日の上海(浦東)発成田行きJL876便に乗務予定だった男性機長(当時)から、乗務前のアルコール検査で国の基準を超過するアルコールが検知された問題。機長を乗務から外し、代替乗務員を手配して定時に出発した。

 3件目は、8月10日の鹿児島発羽田行きJL650便に乗務予定だった男性副操縦士(当時、諭旨解雇)から、乗務前のアルコール検査で国の基準を超過するアルコールが検知された問題。副操縦士を乗務から外し、代替乗務員を手配して定時に出発した。

 4件目は、9月12日の成田発中部行きJL3087便に乗務予定だった男性副機長(当時、諭旨解雇)から、乗務前のアルコール検査で国の基準を超過するアルコールが検知された問題。副機長を乗務から外し、代替乗務員を手配して中部には定刻より11分遅れで到着した。通常は機長と副操縦士が2人1組で乗務するが、同便は機長が2人乗務するシフトで、飲酒が発覚した機長はコックピット右席で副操縦士役(SIC: Second In-Command)を務める副機長として乗務予定だった。

◆スカイマークは業務改善勧告

 スカイマークの処分対象となったパイロットの飲酒問題は、5月30日の中部発那覇行きBC549便に乗務予定だった男性機長から、乗務前のアルコール検査で国の基準を超過するアルコールが検知された問題。JCABはスカイマークに対し業務改善勧告、機長には文書注意を行った。

 JTAの処分対象となったパイロットの飲酒問題は、6月8日の羽田発宮古行きNU021便に乗務予定だった男性機長(当時)から、乗務前のアルコール検査で国の基準を超過するアルコールが検知された問題。代わりのパイロットを手配できず、同便と後続の宮古発那覇行きNU556便の計2便が欠航した。

 また、乗務前アルコール検査を実施前に、飛行勤務の一環であるブリーフィングを行っていたことが発覚。JCABはJTAに対し厳重注意、機長を航空業務停止120日、ブリーフィング実施を認めた副操縦士に文書注意を行った。

 中日本航空では、4月4日にドクターヘリに乗務予定の機長が、飛行勤務開始時に実施することが義務付けられている検知器によるアルコール検査を実施せず、飛行前ブリーフィングや飛行前点検などを実施していた。JCABは中日本航空に対し厳重注意、機長には文書注意を行った。

 朝日航洋では、4月24日にドクターヘリに乗務予定の機長から、乗務前アルコール検査で国の基準を超えるアルコールが検知された。機長は医療関係者とのブリーフィングなど飛行勤務にあたる業務を行っていた。JCABは朝日航洋に対し厳重注意、機長には文書警告を行った。

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